昨年10月に開催された「くまもと復興映画祭」で熊本を訪れていた、熊本出身の行定勲監督と俳優・高良健吾さんへのインタビュー後編。
前回のインタビュー「熊本出身 行定監督と俳優 高良健吾さんに聞く【前編】 嫌いで大好き 愛おしい熊本で、何かやらかそう!」https://kumamoto-guide.jp/column/detail/650
熊本が「嫌い」だと言いつつも、歳を経て、熊本の景色や情緒、人が作り出す空気など故郷が愛おしく感じると話す行定監督。一方、子どもの頃に転校が多く、周りにあまり馴染めなかったという高良さんは、熊本に来て心をオープンにすることができたそうで、今でも「熊本大好き!」を公言しています。そんなお二人に、熊本での過ごし方やおすすめスポットなどをお聞きしました。
熊本の好きなところは情緒。湧いてくる水が美しい
― 前回のインタビューで、熊本の人の好きなところや嫌いなところを伺いました。行定監督は熊本の情緒がいいとおっしゃっていましたが、具体的にどのようなところですか?
(行定)熊本市の江津湖は改めていいと思いますね。僕は子どもの時に下江津湖の近くに住んでいて、その当時下江津湖は、ちょっと汚れて澱んでいました。今はすごくきれいになっていて、風が抜けていく感じがとてもいいですね。熊本市動植物園もきれいになったし、緩やかないい時間の流れが感じられる場所です。いつ行っても童心に還らせてくれる、自分の始まりの時間に戻してくれる場所だと思います。
上江津湖からの湧き水がきれいで、湧いてくる水がとても美しいです。それをずっと、1時間ぐらいじぃーっと見ていられるから。
熊本の原風景が行定監督の活力源
― 行定監督は、熊本からエネルギーを受けているということがありますか?
(行定)熊本には原風景があるから、それが強いですよ。映画を撮る時も、その原風景を追い求めています。自分が見た、何かあの感じ・・・子どもの時に培ってきた時間の積み重ねと記憶です。作品の中で記憶を呼び戻そうとしている。実は、近い場所(東京)などでも、熊本的なところを探していることもあります。
(高良)確かに!俳優になる前、人に知られる前の何者でもない時間を過ごした場所だから、戻ってくるとその時の感覚に戻れるというか・・・俳優という仕事をしていると「高良健吾」として役をいただき、何者かにしてもらっています。
俳優としての僕を応援してくれる人たちがいる今も幸せですが、何者でもなかった普通の学生時代を過ごせた熊本は特別な場所です。水も果物も野菜も肉も果物も全部“地物”ですよね。水だって、蛇口をひねれば地下水、地物ばっかり食べていると、地元好きになっちゃうとか。郷土愛につながると思います。
そう考えたら結構レベル高いですよね。魚も肉も野菜も果物も。
行定監督と高良さんおすすめは 阿蘇ドライブと名物料理、そして夜の熊本市繁華街
― 観光に来た人へおすすめするスポットは?
(高良)まずは熊本市内で楽しんで、自然を楽しんだらいいと思います。金曜日の夜の街は面白いですよね。夜中まで多くの人がいるから!
(行定)そうそう、夜中までね!びっくりするよ。普通、商店街のアーケードって、夜中は閑散としているけど、香港みたいに人が多くて賑わってて、元気だからすごいよね。紅蘭亭やジャンジャンゴーの太平燕(タイピーエン)は毎回食べる、食べたくなるよなあ。
(高良)幼稚園の時から行っている熊本県阿蘇郡高森町の「鶏料理の店 らくだ山」です。熊本市からの道のりも楽しいし、おすすめです。
(行定)今、南阿蘇に家がありますが、近くに蕎麦のお店が多いですね。蕎麦は水がきれいなところがおいしいっていうけど、やっぱり南阿蘇の蕎麦はおいしいですね。お気に入りは「久木野庵」という人気店です。雰囲気が良くて、すごくいい時間が過ごせます。実は店主が同じ熊本県立第二高校出身だとわかって、そういうのもいいよね。
熊本は聖地?二人のおすすめ 熊本のファッション
(行定)あと、おすすめはファッションですかね。僕はだいたい熊本で服を買っています。セレクトショップの質が高いです。だいたいお店に行ったら、いいのを揃えてくれます。
(高良)なぜ、このセレクトができるのか?という店がたくさんありますね。
(行定)そう、いっぱいある。
(高良)ありえない、東京だと。
(行定)東京だと大手のセレクトショップがあって、その中から探さないといけないじゃないですか?違うんですよ!熊本だと、「新しいデザイナーのものです、ご存知ですか?」と言われて、先日もつい買ってしまいましたね。
店員さんがポイントだけを言うんですよ。「次、このデザイナー来ますから」って。うまいんです!高いのに買っちゃいましたよ(笑)。その後に行った時、その店員さんが「デザイナーさんにメールしたら、すごく喜んでましたよ」って、デザイナーともつながっちゃって。これが熊本は面白いですよね。
(高良)東京にも多いですよ、熊本出身のファッション業界の人。他にもカメラマンなど僕たち世代にもたくさんいます。その人たちも、今、「熊本のために何かできんかね」と言っています。
(行定)何か熊本を面白くしていきたいですよね。
日本を代表する映画監督・俳優として活躍する二人から、「心の中にある熊本の原風景が日々の活力になっている」とお聞きし、不思議と、普段見ている熊本の風景がよりよく見えるようになリました。そして、熊本市繁華街の何気ない雰囲気も、なんだか誇らしく感じます。「熊本のために何かしたい」と話す行定監督と高良さんの想いは、熊本の人を元気にしてくれます。
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